導入事例|住友電装株式会社様|エンゲージメント・サーベイの実践的活用法(2)

経営課題を解決するエンゲージメント・サーベイの使い方とは

住友電装株式会社

川瀬 雅生 氏(鈴鹿製作所 所長・入社37年目 )

1917年に電線製造会社として創業した住友電装株式会社。自動車用ワイヤーハーネスのリーディングカンパニーとして、世界で躍動するグローバル企業です。住友電装株式会社 鈴鹿製作所にて「エンゲージメント・サーベイを実施後、それをどう活用すべきか」について一緒に取り組む機会を頂きました。ワークショップ実施後の忌憚のない感想をインタビューさせて頂きました。

事業内容|自動車用・機器用ワイヤーハーネスの製造販売・ワイヤーハーネス用・電気機器用部品の製造販売・自動車用電線の製造販売
企業規模|7,141名 (2024年3月31日現在) 

導入サービス
エンゲージメント・サーベイ結果を活用することを目的としたワークショップ(全4回)
対象者:部長職

組織開発を外部業者に依頼したからこそ得られたもの

ーー 今回のワークショップを社内で実施せず外部業者に依頼して良かったとお感じになったことをお聞かせください。

川瀬氏:私たちが話すよりも外部の専門家の言っていることのほうが、参加者に内容が響くことを実感しました。今回は部長層が対象でしたが、みなさんが素直に内容を受け入れている姿勢を見せていましたので、特にそれを実感しました。これは組織にとって、とても大きいことだと思います。

また、かなり勉強や調査を行ったとはいえ、社内の人材である私たちの言葉よりも「組織開発の専門家による言葉」のほうが、説得力や納得度が高くなることを改めて実感しました。ワークショップの出席率も非常に高かったので、参加者も「予算が掛かっている重要なこと」「だから無駄にしてはいけない」という意識が働いたのかもしれません。

事後アンケートやセッション後のヒアリングでも、講師の方の語り口が上手で「聞いていて楽しい」「プロが話しているので引き込まれる」という意見も多数ありました。そのようなことも「出席率の高さ」に影響していたのかもしれません。ときどき「参加者が事情を詳しく知らない外部から来た人間を鬱陶しく思う」ということもあるようですが、今回は、そのようなこともなく全体を通じて良いワークショップでした。このような点からも、社内人材ではできないことができたので、外部講師に依頼して本当に良かったと実感します。

課題である「部長とグループ長の断層」の改善が進む

ーー ワークショップを通して、御社の狙いは達成されましたか。

川瀬氏:当初の狙いは組織開発そのものでした。中でも、部長とグループ長(課長級)の間に断層のようなものがあり、それを解消したいと考えていました。そこが改善に向かって進み始めた点は「とても上手くいった」と実感します。 具体的には、社内でワークショップを行っていた以前と違い、ワークショップ中、あるいは直後から「部長層がグループ長(課長級)に一生懸命アプローチ」しようという意思が生まれています。部課長間に断層がありましたが、部長層の意思の変化により改善の第一歩を進めたと思います。

ワークショップ後のアンケートでも「部下との対話や議論をやるようになった」という回答が多くありました。「部長の発言・行動の変化」も実感しています。 また、このワークショップでは別の狙いもありました。それは「グループ長(課長級)を育てていく」ことでした。部長とグループ長(課長級)の役割を今よりも明確に区分し、各々が役割を十分に果たす中で、グループ長(課長級)が育っていくことを狙っています。ただし、こちらについてはそれなりに時間が掛かることなので、ここから継続的に現場の活動を支援し、狙いを達成していきたいと思います。

エンゲージメント・サーベイのスコア向上を目標とせず、結果的な指標としてモニタリングする

ーー 今回のワークショップのメインテーマでもある「エンゲージメント・サーベイの結果を、どうやって経営に活かすのか」についてお考えをお聞かせください

川瀬氏:総務人事部門内で議論する際、会社としてもエンゲージメント・サーベイのスコア向上は、中長期的な改善指標としてとても重要なものです。しかし、今回のワークショップを通じて、エンゲージメント・サーベイのスコア向上そのものを目標して何かを行うのではなく「業務プロセスやマネジメントが改善されたことを示す結果的な指標としてモニタリングすることが重要」だと考えるように変化しました。

一方で、「従業員の定着」や「採用力強化」という意味でも、「働きやすい、働きがいのある職場にしなくてはいけない」という共通認識を経営幹部は持っています。そういう意味で、エンゲージ・サーベイの結果は「働きがい」「働きやすさ」を数字で表すことができるので重要な指標です。しかし、その「働きがい」「働きやすさ」を向上するには、短期的視点によるエンゲージメント・サーベイのスコアの向上を狙った活動ではなく、中長期的な視点のもと業務プロセスやマネジメントが改善されたという証として、結果的な指標としてエンゲージメント・サーベイのスコアを追いかけていくことが必要だと考えられます。

つまり、エンゲージメントサーベイを経営に活かすには「スコアを上げるために何をするのか」ではなく、「そもそも私たちはどのような組織を作り上げたいのか?」といったビジョンの解像度を上げる取り組みも必要だと感じました。定性的でもよいので、できるだけ目指したい組織像の目標を明確に掲げていくことが、私たちにとっても今後取り組むべきことだと考えています。

そして、その目標を起点に、具体的な業務プロセス改善やマネジメントの質を向上させる取り組みを通じて、結果として「働きがい」「働きやすさ」を高めていくことが大切かと考えます。エンゲージメント・サーベイのスコアは、こうした活動がきちんと機能しているかどうかの指標として追いかけていければ良いのかな、と思います。

ーー 大変勉強になるお話をお聞かせいただき誠にありがとうございます。エンゲージメント・サーベイのスコアを上げることを目標にせず、目指す組織像の目標に対する改善を通じて、結果としてスコアが上がっていくことが重要であることを改めて実感しました。今回は、貴重なお話お聞かせ頂き、誠にありがとうございました。